「家族葬だから安い」。
この言葉を聞くたびに、私は少し立ち止まります。
結論から言うと、家族葬は人数を絞る葬儀ではありますが、人数が少ないからといって、葬儀そのものが単純に安くなるわけではありません。大切なのは、表示されている金額の安さではなく、そこに何が含まれていて、何が含まれていないのかです。
そして今、私はこの業界の流れに対して、強い違和感を持っています。
家族葬は本当に安い葬儀なのでしょうか
家族葬は、近しいご家族やご親族を中心に行うお葬式です。
一般葬に比べて会葬者の人数が少なくなることで、料理や返礼品など、人数に応じて変動する費用が抑えられることはあります。そこだけを見れば、費用が小さくなる場合もあります。
しかし、葬儀には人数に関係なく必要になるものがあります。
お迎え、安置、ドライアイス、棺、骨壺、納棺、式場、スタッフ、手続き、そしてご家族への説明。これらは、家族葬であっても必要なものです。初めての方は、まず家族葬の流れについてを知っておくだけでも、何に費用がかかるのかが見えやすくなります。
だからこそ私は、「家族葬=安い」とだけ伝えることには慎重であるべきだと思っています。これは綺麗ごとではありません。現場に立っていると、本当にそう感じる瞬間があります。
安く見える広告に、なぜ違和感を覚えるのか
数年前まで、業界の中では「家族葬だから安いわけではありません」という説明をよく耳にしました。
ところが今では、家族葬専門の小型ホールが次々に増え、広告では「小さく」「安く」「気軽に」見える表現が目立つようになりました。
もちろん、小型ホールそのものが悪いわけではありません。時代に合わせて、少人数でゆっくりお別れできる空間を整えることは、とても大切なことです。
問題は、安く見える入口だけを大きく見せて、実際に葬儀で必要になるものがプラン外に置かれている場合です。
最初に見た金額と、実際に必要になる金額が大きく違う。その差に、ご遺族が葬儀後になって驚く。もしそんなことが起きているなら、葬儀社として見過ごしてはいけないと私は思います。費用面で不安がある方には、あわせて葬儀費用は安いだけで選ぶなという考え方も読んでいただきたいです。
「追加料金」と「別料金」は同じではありません
私は、「追加料金」という言葉にも注意が必要だと思っています。
本来の追加料金とは、ご家族が希望された内容や、人数、日程、宗教者様のご都合などによって、後から必要になる費用のことです。
一方で、葬儀を行う上で最初から必要になるものがプランに入っていないのであれば、それは追加料金というより、最初から別に設定されている料金ではないでしょうか。
この違いは、ご家族にとって非常に大きいものです。以前にも、追加料金という名の“別料金”について、副社長として率直に書きました。
「安いと思って相談したのに、話を聞くと必要なものが次々に別だった」。そのような不安や不満が、葬儀費用への不信感につながっているのだと思います。
実際に、独立行政法人国民生活センターも「依然として多い葬儀サービスの料金トラブル-「家族葬だから安い」と思っていませんか?-」として注意喚起をしています。
これは、葬儀費用の分かりにくさが、一部の人だけの不安ではなく、社会全体で見過ごせない問題になっているということだと私は受け止めています。
そこまで来ているのに、業界全体としてこの問題を真正面から語る空気がまだ弱い。私はそこに、強い危機感を持っています。
私は、誰かを攻撃したいわけではありません。
ただ、葬儀業界の広告は決して小さなものではありません。テレビ、新聞、インターネット、看板。多くの場所で葬儀社の広告を目にします。
だからこそ、葬儀費用の不明瞭さや、広告と実際の見積もりの差について、大きな声で語られにくい空気があるのではないか。そう感じてしまうことがあります。
「この不思議な状況を憂いているのは、私だけなのだろうか」。正直に言えば、そう思うこともあります。
でも、黙っていてはいけないと思っています。
葬儀は、やり直しがききません。ご家族は、大切な人を亡くした直後に、冷静に比較検討することが難しい状態で決断を迫られます。だからこそ、私たち葬儀社が先に誠実でなければならないのです。
花水木が料金の分かりやすさにこだわる理由
花水木が大切にしているのは、安く見せることではありません。
ご家族が内容を理解し、比較し、納得して選べることです。
業界ではよく「葬儀はオーダーメイド」と言われます。確かに、ご家族の人数も、宗教者様との関係も、日程も、想いも一件一件違います。ただ、その言葉だけで価格が見えなくなるなら、ご家族にとっては不安でしかありません。詳しくは、オーダーメイドとセットプランの違いでも書いています。
そのために、花水木では明朗で分かりやすいコミコミ型の料金設計を大切にしています。葬儀に必要なものをできるだけ分かりやすく整理し、別途確認が必要なものや、人数・日数によって変わるものは事前にお伝えする。実際の内容を確認したい方は、葬儀プランもあわせて見ていただければと思います。
これは、ただ料金表を整えるという話ではありません。
ご遺族が不安の中で判断しなければならないとき、余計な疑念を持たずに、大切な人とのお別れに向き合っていただくための仕組みです。
また、一施工一担当制を大切にしているのも同じ理由です。最初に話を聞いた担当者が、最後まで責任を持って確認し、伝え、見届ける。途中で説明がずれたり、伝えたつもりになったりしないようにするためです。花水木がなぜこの体制にこだわるのかは、一施工一担当制を貫く理由でも詳しく書いています。
一日一家族貸切も、同じです。流れ作業のように葬儀を進めるのではなく、そのご家族だけの時間として向き合うための仕組みです。
ご家族に見てほしいのは、金額ではなく中身です
葬儀社を選ぶとき、広告の金額だけで判断するのは危険です。
見ていただきたいのは、次のような点です。
- 表示金額に何が含まれているのか
- 搬送、安置、ドライアイス、棺、骨壺などが含まれているのか
- 人数によって変わる費用は何か
- 日程が延びた場合に必要な費用は何か
- 火葬料金や宗教者様に関わる費用の扱いが説明されているか
- 見積もりの段階で、分からない点を質問しやすいか
家族葬は静かなお葬式ですが、決して「手間が少ない葬儀」ではありません。表から見えない準備や段取りについては、家族葬は何をしてくれるのかという記事でもお伝えしています。
安いことが悪いのではありません。
安く見せることと、分かりやすくすることは違います。
ご家族にとって本当に大切なのは、「思っていた金額と違った」と後から苦しむことがないように、最初から正直に説明されることだと私は思います。
よくあるご質問
Q. 家族葬なら一般葬より安くなりますか?
A. 人数が少なくなることで、料理や返礼品などの費用が抑えられる場合はあります。ただし、葬儀に必要な基本的なものは家族葬でも必要です。大切なのは、総額と内容を確認することです。
Q. 広告に出ている葬儀プランの金額だけで判断しても大丈夫ですか?
A. 広告の金額だけでは判断しにくい場合があります。その金額に何が含まれていて、何が別になるのかを確認してください。特に搬送、安置、ドライアイス、棺、骨壺、式場使用、スタッフ対応などは確認しておきたい項目です。
Q. 事前相談で料金のことを詳しく聞いても失礼ではありませんか?
A. まったく失礼ではありません。むしろ、元気なうちに、落ち着いているうちに確認しておくことが、ご家族の負担を減らすことにつながります。分からないことを質問できる葬儀社かどうかも、大切な判断材料です。
大切な人を送ることに、正解は一つではありません。
ただ、葬儀費用が分かりにくいまま進んでしまうことは、ご家族にとって大きな不安になります。もし少しでも心配なことがあれば、事前相談で聞いてください。急な別れの中で判断するよりも、落ち着いているうちに知っておく方が、後悔を減らせると私は思います。
私は、葬儀を安売りの商品にしたくありません。
葬儀は、亡くなった人へ感謝を伝える場です。命がつながっていることを、ご家族がもう一度確かめる場です。
だからこそ、料金も、説明も、現場も、誠実でなければならない。
この不思議な状況を、私は黙って見過ごしたくありません。花水木はこれからも、一件一件の葬儀に、同じものは一つもないと思って向き合っていきます。
●家族葬の花水木は香川・徳島で全18ホールにて展開中
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