もし自分に万が一のことがあったとき、誰が葬儀社へ連絡し、誰が手続きを進め、誰が自分の想いを知っていてくれるのか。
これは高齢の方だけの話ではありません。家族の形が変わり、一人暮らしの高齢者が増えている今、葬儀は「亡くなってから考えるもの」だけではなくなってきています。
私は、元気なうちに葬儀や供養のことを話しておくことは、縁起でもない話ではなく、残される人への思いやりだと思っています。
一人暮らしが増える時代に、葬儀の不安も変わっている
内閣府の令和8年版高齢社会白書では、令和7年10月1日現在の日本の高齢化率は29.4%とされています。さらに、65歳以上の一人暮らしの方は男女ともに増加しており、令和32年には男性26.1%、女性29.3%になると見込まれています。
数字だけを見ると、どこか遠い社会問題のように感じるかもしれません。
しかし現場に立っていると、これはとても身近な問題です。ご家族が遠方にいる。お子さんに迷惑をかけたくない。親族付き合いが以前より薄くなっている。誰に何を頼めばいいのか分からない。そうした不安を、事前相談の場で聞くことが増えています。
葬儀の準備とは、祭壇や費用だけを決めることではありません。もしもの時に、誰が連絡を受け、どこに安置し、どのような見送りを望むのか。その道筋を少しでも見えるようにしておくことです。実際の流れを先に知っておきたい方は、家族葬の流れについても参考になると思います。
事前相談は、本人の希望を押し付ける場ではない
事前相談という言葉を聞くと、「自分の葬儀を全部決めておくこと」と思われる方がいます。
私は、少し違うと思っています。
事前相談は、自分の希望を一方的に残す場ではありません。家族が迷わないために、考える材料を残しておく場です。さらに一歩踏み込んで考えたい方は、事前相談の応用編も読んでみてください。
例えば、家族葬を希望するのか、直葬のようなシンプルな形を望むのか。宗教者との付き合いはあるのか。菩提寺があるのか。写真はどこにあるのか。連絡してほしい人は誰なのか。費用について、どのくらいの考え方を持っているのか。
これらを生前に一度でも話しておくと、残されたご家族の負担は大きく変わります。
亡くなった直後のご家族は、普通の精神状態ではありません。悲しみの中で、短い時間に多くの判断をしなければなりません。その時に何も分からないまま進めるのか、本人の想いに少しでも触れながら進めるのか。そこには大きな差があります。
簡素化しても、感謝まで簡素にしてはいけない
最近は、家族葬、火葬式、一日葬など、葬儀の形が多様になっています。
私は、葬儀が小さくなること自体を悪いとは思っていません。家族の事情、費用の不安、親族関係、仕事の都合、それぞれに事情があります。大切なのは、形の大きさではありません。
ただ、簡素にすることと、故人への感謝まで簡素にすることは違います。
葬儀とは、亡くなった人へ感謝を伝える場です。言葉にできなかった思いを心の中で伝える場です。そして、命がつながっていることを再確認する場です。
一人暮らしだった方にも、歩んできた人生があります。誰かに支えられ、誰かを支え、残してきたものがあります。たとえ参列者が少なくても、その人の生きた証が消えるわけではありません。
だからこそ、私たち葬儀社は「人数が少ないから簡単でいい」と考えてはいけない。むしろ、人数が少ないからこそ、その方らしさやご家族の想いを丁寧に拾う必要があります。
終活の本当の意味を、私は「安く済ませる準備」ではなく、「残される人が困らないように整えること」だと思っています。この考えに近い内容は、終活の本当の意味をお伝えした記事でも触れています。
花水木が事前相談で大切にしていること
花水木では、事前相談を単なる営業の場にはしたくありません。
もちろん、費用の見通しは大切です。葬儀費用が分かりにくいままだと、ご家族は不安になります。だからこそ、明朗で比較しやすい料金設計や、内容を確認しやすい説明は、思いやりの一部だと考えています。
ただ、それ以上に大切なのは、「この方は何を不安に思っているのか」「ご家族に何を残しておきたいのか」を聞くことです。
花水木には、一日一家族貸切や一施工一担当制という仕組みがあります。これは宣伝のためだけの言葉ではありません。突然の別れの中で、同じ担当者が流れを把握し、ご家族の不安を受け止め、最後の時間を落ち着いて過ごしていただくための仕組みです。
また、もしもの時に費用面の不安を和らげたい方は、会員制度についても、元気なうちに確認しておくと考えやすくなります。
一人暮らしの方や、家族が遠方にいる方ほど、「誰に話せばいいか分からない」という不安を抱えています。その不安を、元気なうちに少し言葉にしておく。それだけで、もしもの時の混乱は和らぎます。
今日から考えられる準備は何か
難しい書類を完璧にそろえる必要はありません。
まずは、家族や信頼できる人に、次のようなことを伝えておくだけでも意味があります。
- 万が一の時に連絡してほしい人
- 葬儀社や相談先についての希望
- 宗教者やお墓、納骨に関する情報
- 写真や重要書類の保管場所
- 葬儀の形についての大まかな考え
大切なのは、細かく決め切ることではありません。残された人が「何も分からない」と立ち尽くさないように、手がかりを残しておくことです。
これは自分のためだけではありません。自分を見送ってくれる人への、最後の心配りでもあります。
よくあるご質問
Q. 一人暮らしでも事前相談をしてよいのでしょうか?
A. もちろんです。むしろ、一人暮らしの方ほど、万が一の連絡先や安置場所、葬儀の希望を整理しておく意味があります。すべてを決める必要はなく、不安な点を確認するところからで十分です。
Q. 家族に葬儀の話をすると嫌がられそうで心配です
A. 急に細かな内容を決めようとすると、家族も戸惑うことがあります。まずは「迷惑をかけたくないから、少しだけ考えておきたい」と伝えるだけでも構いません。葬儀の話は、死を急ぐ話ではなく、家族への思いやりの話です。
Q. 葬儀の形を決めていなくても相談できますか?
A. 相談できます。家族葬、火葬式、一日葬などの違いを聞いたうえで、自分や家族に合う形を考えることができます。費用や流れも、確認できる範囲で整理しておくと安心につながります。
ご相談を考えている方へ
葬儀は、亡くなってから始まるもののようでいて、本当は生きている時間の中にもつながっています。
どんな人生を歩み、誰に感謝し、どんな形で見送られたいのか。その全部を言葉にできなくても、少し話しておくことには意味があります。
花水木では、事前相談や終活相談を通じて、ご本人とご家族が少しでも落ち着いて向き合える時間を大切にしています。費用のこと、葬儀の流れ、家族に何を伝えておけばよいか。不安なことがあれば、元気なうちに話してください。
資料を見ながら考えたい方は公式サイトから情報を確認し、必要に応じて事前相談につなげていただければと思います。
私は、葬儀社の仕事は亡くなった後だけにあるとは思っていません。生きている間の不安に寄り添い、最後の時間に感謝が残るように整えることも、私たちの大切な役割です。
一人で生きているように見える人も、本当は多くのつながりの中で生きています。そのつながりを最後に見失わないために、今日も一件一件、目の前の相談にまっすぐ向き合っていきます。
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