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相続は「誰がもらうか」、祭祀承継は「誰が守るか」 | 徳島・香川の葬儀・家族葬なら家族葬の花水木

家族葬の花水木 葬儀屋の(副)社長ブログ

相続は「誰がもらうか」、祭祀承継は「誰が守るか」

2026年07月18日

相続という言葉を聞くと、多くの方は預貯金や不動産を誰が受け取るのかを思い浮かべると思います。

けれど、葬儀後のご家族とお話ししていると、お金や土地とは別に、もう一つ大きな承継が残っていることを感じます。誰が位牌を守り、誰がお墓を管理し、誰がこれからの供養をつないでいくのかという問題です。

今回お伝えしたいのは、「相続は誰がもらうか、祭祀承継は誰が守るか」ということです。祭祀(さいし)承継は、仏壇やお墓という物を引き継ぐだけの話ではありません。故人様やご先祖とのつながりを、家族の中でどう守っていくのかを考える話です。

祭祀承継について家族で確認することを表した副社長コラムのアイキャッチ

葬儀が終わった後に残る「もう一つの承継」

葬儀が終わると、ご家族は少しほっとされる一方で、すぐに納骨、四十九日、仏壇、位牌、お墓、相続手続きと向き合うことになります。

家族葬のように少人数で静かに送る形が増えても、その後の供養を誰が担うかという問題は残ります。兄弟姉妹が遠方に住んでいる、子どもが県外で暮らしている、跡継ぎがいない。そうした事情があるほど、生前の共有が大切になります。

よくあるケースとして、お墓を継ぐ人は何となく決まっているのに、年間管理料を誰が払うのか、法要をどこまで行うのか、将来の墓じまいや永代供養を考えるのかまでは話していない、ということがあります。

お墓や仏壇は、一般の遺産とは扱いが違う

民法では、祭祀に関する財産として、系譜、祭具、墳墓という考え方が出てきます。系譜は家系図や過去帳、祭具は仏壇、位牌、仏具、神棚、神具など、墳墓は墓石、墓所、お墓に関する使用権などです。

ただし、供養の形は宗教や家庭によって違います。仏壇や位牌がある家もあれば、納骨堂や樹木葬を選ぶ家もあります。仏教だけを前提にせず、その家にとって何を守る対象と考えるかが大切です。

祭祀財産は、預貯金や不動産のような通常の相続財産とは別に扱われ、原則として遺産分割の対象にはなりません。兄弟3人だから仏壇やお墓を3分の1ずつ共有する、という考え方ではありません。

一方で、「遺産分割の対象ではない」ことと、「承継後に何も変更できない」ことは別です。墓じまい、改葬、仏壇の整理などは、墓地や霊園、寺院の規則、行政手続、親族関係が関係します。承継者だけで簡単に判断せず、関係先に確認しながら進める必要があります。

祭祀承継者は、長男に自動的に決まるわけではない

昔からの感覚として、「長男がお墓を継ぐもの」と考えている方は少なくありません。けれど、法律上は長男や男性に自動的に決まる制度ではありません。

民法上は、まず故人様の指定が重視されます。指定がない場合は明らかな慣習を見ます。慣習が明らかでない時は、家庭裁判所が定めることになります。

また、祭祀承継者は法定相続人に限られるわけではありません。配偶者、長男、長女に限定されず、故人様と関係の深い親族などが承継者となる可能性もあります。ただし、具体的な判断は個別事情によります。

実務で大切なのは、「誰を指定するか」だけではありません。その人が管理できるのか、費用をどうするのか、親族にどう伝えるのかまで、生前に話し合っておくことです。親の供養について元気なうちに聞いておくことは、家族の負担を減らす準備でもあります。

喪主、相続人、祭祀承継者は同じとは限らない

葬儀で喪主を務めた人が、そのまま祭祀承継者になると思われることがあります。実際には同じ人になる場合もありますが、立場としては別です。

喪主は葬儀を取り仕切る人です。相続人は預貯金や不動産などの遺産を引き継ぐ人です。祭祀承継者は、お墓や仏壇などを引き継ぎ、供養の中心を担う人です。

ここを混同すると、「喪主をしたのだから全部任せる」「相続分が多い人がお墓も見るべきだ」といった感情のずれが起こりやすくなります。私たちが現場で感じるのは、法律より先に、家族の納得感を整えることの大切さです。

相続放棄をしても、お墓の問題が消えるとは限らない

相続放棄は、通常の相続財産や債務に関する制度です。祭祀財産の承継とは別に考えられており、相続放棄をした人でも祭祀承継者になる可能性があります。

ただし、祭祀承継者になったからといって、あらゆる法要を行わなければならないとか、費用負担がその人だけに固定される、と決めつけるのも違います。

祭祀財産を誰が承継するか。実際にどのような供養を続けるか。費用を家族でどう分担するか。この三つは分けて考える必要があります。相続放棄や相続手続きに不安がある方は、葬儀の豆知識だけで判断せず、法律や税務の専門家にも確認してください。

なお、遺骨は民法897条に列挙されている系譜、祭具、墳墓そのものではありません。判例や個別事情では、祭祀を主宰する人や祭祀承継者に帰属すると判断されることがありますが、すべてのケースを単純に同じとは言えません。

税金では非課税でも、実務の負担は残る

日常の礼拝や供養に用いられている墓地、墓石、仏壇、仏具などは、原則として相続税の非課税財産とされています。ただし、商品として持っているもの、骨董的価値や投資目的が中心のもの、日常礼拝のためとは認められないものまで同じ扱いになるわけではありません。

また、生前にお墓を購入すれば税金面で有利だと単純に考えるのも慎重であるべきです。被相続人が生前に購入したお墓の未払代金など、非課税財産に関する債務は遺産総額から差し引けないと整理されています。購入代金が未払いの場合や借入金が残っている場合は、税理士に確認してください。

税金がかかるかどうかだけで終わらせず、管理料を誰が払うのか、墓地使用許可証や契約書はどこにあるのか、霊園や寺院の連絡先を誰が把握しているのかまで整理しておくことが大切です。

元気なうちに家族で共有しておきたいこと

私は、祭祀承継は物の引き継ぎではなく、家族の設計だと思っています。お墓を残すこと、納骨堂に移すこと、永代供養を考えること、仏壇を整理すること。それぞれの家族に事情があります。

供養を続けることと、従来と同じ形を永久に維持することは、同じではありません。だからこそ、亡くなった後に初めて話すのではなく、元気なうちに本人の希望と家族の事情を共有しておくことが大切です。

葬儀の前後で整理したいことがある方は、事前相談・資料請求の中で、葬儀の形式だけでなく、納骨や法要、家族で共有しておきたい情報についても確認していただけます。

家族で確認しておきたい祭祀財産メモ

すべてを一度に決める必要はありません。まず、どこに何があり、誰が管理しているかを家族で共有することから始めましょう。

  • お墓、納骨堂、樹木葬などの所在地
  • 霊園、墓地、寺院の名称と連絡先
  • 墓地使用許可証、永代使用許可証、契約書の保管場所
  • 仏壇、位牌、過去帳、神棚などの所在
  • 現在の名義人、契約者、管理料の支払者
  • 承継を希望する人と、その人の意思
  • 年間管理料、法要、お布施などの概算
  • 将来も維持するのか、改葬や永代供養を検討するのか
  • 親族のうち、話し合いに参加してほしい人
  • 困った場合に相談する専門家や事業者

書き出してみると、まだ決められないことも出てくると思います。それで構いません。分からないことが分かっただけでも、家族の準備は一歩進んでいます。

故人様とのつながりを、家族でどう守るか

相続は、財産を誰が受け取るかという話になりやすいものです。一方で祭祀承継は、故人様やご先祖とのつながりを、誰が、どのような形で守っていくかという話です。

これは綺麗ごとではありません。現場に立っていると、葬儀が終わった後に初めて話し合うことの大変さを感じる瞬間があります。

だからこそ、元気なうちに話しておく。本人の希望と、家族の事情を照らし合わせておく。花水木は、葬儀の一日だけではなく、その後のご家族の時間にも寄り添える存在でありたいと思っています。

注意書き:本記事は、祭祀財産や祭祀承継に関する一般的な情報を、葬祭事業者の立場から分かりやすく紹介するものです。具体的な権利関係、相続、税務、墓地・寺院との契約内容は個別事情によって異なります。法律上の争いは弁護士、登記や相続手続は司法書士、税務は税理士、墓地や納骨に関する手続は墓地管理者・寺院・自治体など、内容に応じた専門家へご確認ください。