葬儀でも見かける回転灯篭や提灯。
前回ご紹介した一般的な石灯篭などと同じく、さまざまな場所で目にする照明としての役割は知られていますが、葬儀においてはどのような意味や役割があるか知らない方も多いでしょう。今回は葬儀で使う灯篭・提灯の意味や役割について解説していきます。
※前回のご紹介内容はこちら👇
葬儀で使う灯篭・提灯とはどんなもの?
灯篭とは、日本に伝わる伝統的な照明器具の一つですが、他にもさまざまな役割があり、照明としての役割はもちろん、故人が道に迷わないようにするための目印や、先祖供養といった意味もあります。
葬儀で使う灯篭も同じように、故人の足元を照らす意味や故人が迷わないようにするための目印としての役割があると言われています。
それでは葬儀で使う灯篭と提灯にはどのような種類があるのでしょうか?
灯篭
回転灯篭
長い三つ足の上に明かりを灯す火袋があり、その上に雲を模した手がついています。火袋には絵入りの紙や布が張られ、中にさまざまな形を切り抜いている円筒をかぶせています。その内側には電球がついており、明かりを灯した熱で円筒が回り、柄が外側に映ります。手と足は白木のものや黒いプラスチック製のもの、金色の装飾されたものもあります。
大きさは80㎝~110㎝ほどです。
金灯篭
主に浄土真宗系で使われるものですが、葬儀の際は宗派を問わず使用されます。葬儀で使用した後、家の仏壇で使うことができます。
大きさは30㎝~40㎝ほどです。
蓮灯篭
仏教では仏の慈悲・智慧の象徴とされている蓮の花の灯篭です。蓮の花部分に明かりが灯ります。花がピンクで葉が緑のものが一般的ですが、その両方が白いものもあります。
大きさは90㎝~110㎝ほどで高さは回転灯篭とあまり変わりませんが、茎の部分を少し外側に広げるため、横幅が大きく見えます。
バブル灯
内部に明かりが灯るとその熱で水泡が上がる仕組みになっています。中には蓮の花が飾られており、明かりとブクブクと上がってくる水泡が幻想的な雰囲気を作り出します。
大きさは30㎝~40㎝ほどで金灯篭とほぼ同じです。
ルミナス灯
花や葉の部分にグラスファイバーが入っている造花灯篭です。電源を入れると花や葉が光り、時間の経過により色が変わるため幻想的な雰囲気を作り出します。
大きさは卓上サイズから床置きサイズまでさまざまな物がありますので、購入の際はよく確認しましょう。
提灯
御霊燈
葬儀場の入り口、自宅葬を行う場合には自宅の門前に左右一対で飾ります。本来は近所の方などに葬儀が行われることを伝える役割がありましたが、最近は家族や親族のみで葬儀を行うことも増え、葬儀場での形式的な飾りにとどまり、自宅で飾ることはなくなってきました。
忌中
四十九日が明けるまでは喪に服していること示す役目で“忌中”と書かれた提灯を自宅に提げていましたが、これもまた飾ることはなくなってきました。
提灯の代わりに「忌中紙」という紙を貼る場合もあり、徳島県でもこちらが多く見られます。
ですがこれも防犯上の理由や「葬儀があることを伏せておきたい」という遺族の希望により、使用しないことも多くなってきました。
還浄(げんじょう)
浄土真宗では、人は亡くなるとすぐに極楽浄土に行くとされています。そのため、「御霊燈」ではなく仏の世界に還るという意味の「環浄」が使われるのです。葬儀場の入り口や自宅の門前に飾りますが、こちらもやはり自宅では飾られなくなってきました。
また浄土真宗に限らず、「死=穢れ」と考える死生観や地域性などにより、「還浄」を使用する場合もあります。
葬儀における灯篭の飾り方について
次に飾り方です。灯篭は必ず一対で飾ります。
回転灯篭と蓮灯篭は床置きなので、祭壇の両脇に対になるように飾ります。両方を飾る場合は、回転灯篭を故人により近い祭壇側に置きましょう。
金灯篭とバブル灯は小型の灯篭なので、祭壇上段に飾ります。
さて、葬儀ではこれを誰が用意するのでしょうか?
灯篭はお供え物にあたります。家族葬が増え、喪主が準備をする場合もありますが、主に親族がお供え物として用意するものです。生花や籠盛と違い、灯篭は同じものを複数飾ることはありません。用意をする際は、喪主や親族間で相談をして重複しないように気をつけましょう。
ですが浄土真宗においては、人は亡くなるとすぐに極楽浄土に行くとされているので、故人の足元を照らす回転灯篭や蓮灯篭は必要ありません。自身が灯篭を送る場合には宗派に注意しましょう。
葬儀の後は?使用した灯篭はどうしたらいい?
葬儀で使った灯篭ですが、終わった後はどうするのでしょうか?
葬儀の後、ほとんどの場合は自宅にお骨を持ち帰ります。
そして主に真言宗では、四十九日まで自宅に中陰壇(後飾り)と呼ばれる白い布を被せた白木または段ボール製の祭壇を組み、そこに御骨、野位牌、写真、仏具一式を並べます。
葬儀で使った灯篭もまた自宅に持ち帰り、その中陰壇に飾ります。回転灯篭と蓮灯篭は中陰壇の脇に、金灯篭やバブル灯のような小型なものは中陰壇の上段に飾ります。四十九日法要をする場合、自宅で行う場合はそのまま使います。葬儀場で行う場合は式場にある灯篭を使うのが一般的ですが、自宅にあるものを使いたいという希望があれば葬儀社に申し出てください。
ところで、もともと灯篭や提灯にはろうそくの火を使っていました。ですが現在ではほとんどが電気コード式ですので、昔のような発火の心配は少なくなっていると言えるでしょう。とはいえ、最近では生活の変化もあり、家を空ける時間が多くなっているのもまた事実です。万が一のことがあってはいけませんので、出かける際には電気を切っていただくことを推奨しています。
さて、葬儀から四十九日まで使った灯篭。その後複数の方で使い回しても良いのでしょうか? 灯篭や提灯はその故人お一人に対してのお供え物なので、本来は使い回しはしません。徳島県では夫婦間で共用とすることもありますが、ほとんどの場合は葬儀の際はその都度、お供え物として用意するようになります。また葬儀後においては四十九日以降の故人の回忌法要で使用しますが、三回忌を目途に処分することも多いようです。徳島県においても三回忌後に処分することが多いのですが、地域性が濃く出る部分です。
経験のある親族の方や葬儀社に相談してみるのも良いでしょう。
ただし注意しなければならないのが、初盆(新盆)です。初盆では葬儀で使った灯篭や提灯は使いません。初盆の際は、初盆用のものを準備しなければならないのです。お盆用の灯篭や提灯については次回、改めてご説明します。
灯篭・提灯の保管や処分方法
葬儀から四十九日まで終えたら、中陰壇(後飾り)の処分と共に灯篭も片付けます。葬儀の後に専用の箱も持ち帰っているはずなので、その中に入れて保管します。回転灯篭と蓮灯篭は多くは組み立て式です。ばらして箱に入れる際には回転灯篭の場合は火袋や円筒に気を付けて入れましょう。蓮灯篭の場合は葉の部分を外して片付けるので折れ曲がらないように気を付けましょう。小型の金灯篭やバブル灯はコードを外して箱に片付けるだけなので、簡単に保管ができ比較的楽に管理ができます。
しかし、どんなに丁寧に保管していても、経年劣化や、日焼け、熱による劣化があります。このような場合、どのように処分するのでしょうか?
灯篭や提灯は自治体の指示に従って分別しゴミに出します。葬儀に使ったものなので、お寺に持ち込んでお焚き上げしてもらうイメージがあるかもしれませんが、あくまでもお供え物であり、仏具ではありませんので特に必要ありません。
また葬儀で使う御霊燈などの提灯は葬儀社によるレンタル品が多く、葬儀が終わると葬儀社が回収してくれるため、ご遺族が処分をする必要がありません。地域によっては当家ごとに作るところもあるのでその場合は使用後処分するようになります。
まとめ
今回は葬儀から三回忌法要頃まで使用する提灯・灯篭のご紹介でした。
ここでは基本的な種類や保管方法などをご説明しましたが、誰が用意し、どのくらいの大きさで、いつまで保管し、いつ処分するのか、宗派や地域性によっても違いがあります。これらを踏まえ、葬儀社スタッフにどのようにしたらよいか相談してみてはいかがでしょうか。
次回はお盆に使用する灯篭・提灯を解説いたします。
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