天台宗とは今からおよそ1200年前、延暦25年に最澄によって日本に伝え広まった宗派です。
中国を発祥とする大乗仏教のひとつであり、諸経の王とされる妙法蓮華経(法華経)を根本仏典とするため、「天台法華宗(てんだいほっけしゅう)」ともいわれています。
当初は政治と古来の仏教を切り離すために取り入れられた新しい仏教でしたが、誰もが仏になれるという教えは民衆に浸透し、今でも多くの宗徒が心の拠りどころとしています。
世界文化遺産にも登録されている比叡山延暦寺を本山に持つ天台宗について解説していきます。
天台宗の起源
その昔、釈尊(ブッダ)が残された教えは、南は東南アジアの国々へ、北はガンダーラからヒマラヤを越えて中央アジアへと広まり、やがて中国へと伝わったといわれています。
多くの求法の僧により数々の経典が伝えられましたが、その中でも「妙法蓮華経(法華経)」という経典には釈尊の「すべての人に悟りの世界を」という考え方がもっとも明確に述べられています。この教えに注目し仏教全体の教義を体系付けたのが「智顗(ちぎ)」です。
智顗(538年~597年)はその晩年を杭州の南にある天台山で過ごし、弟子の養成に努めたことから「天台大師」と諡(おくりな)され、またその教学は天台教学と称されました。
これが天台宗の起源であり、智顗を高祖と唱えるのはこのためだと言われています。
天台宗の教えとは
天台宗はすべての人々が仏になることができる、という「法華一乗」の教えを説いています。この「乗」とは人々を乗せ、悟りの境地へ運ぶ乗り物を指しています。隋の時代、この教えを日本に持ち帰り、比叡山を開いて広めたのが伝教大師「最澄(さいちょう)」です。
また天台宗を象徴する言葉の一つとして「一隅を照らす」というものがあります。これは「自分自身が輝くことで、周りの人も明るくすることができる。そうした人たちが手を取り合い生きていく世界は仏の世界と同じである」といった考えであり、天台宗の根幹をなすものでもあるのです。
さらに、天台宗では仏の教えを「顕教(けんぎょう)」と「密教(みっきょう)」の2つに分類した「顕密二教(けんみつにきょう)」という考え方がされています。
「顕教」ははっきりとした「お経」があるのに対し、「密教」はお経などの文字、言葉ではなく「加持・祈祷」などで仏の境地に達することを重視しています。
このように大きく違いのある二教を取り入れ、ときには融合させたりしているのが「顕密二教」です。
①法華三昧(ほっけざんまい):法華経を読誦し、懺悔し、滅罪生善の規範とする
②常行三昧(じょうぎょうざんまい):弥陀経を読誦し、往生極楽の指南とする
③光明供錫杖(こうみょうくしゃくじょう):光明真言によって滅罪息災の秘法を修す
天台宗の葬儀、法事においてはこの顕密二教を基に以上の3つの法要を重んじています。
天台宗の主なお経
天台宗では、釈迦が「すべてのものは仏になる」と説いた妙法蓮華経が根本の聖典とされています。特に「自我偈(じがげ)」、「観音経(かんのんぎょう)」、「般若心経(はんにゃしんぎょう)」などがよく用いられるそうです。
自我偈
妙法蓮華経の如来寿量品第十六章に記されている経典で、法華経の要とも言われる部分です。仏の命は永遠であることが説かれています。また、すべての人々を仏にすることが仏の願いであり、常に人々のことを思い続けていることが記されています。
観音経
「妙法蓮華経」の観世音菩薩普門品第二十五章に記されている経典です。観音菩薩が神通力を発揮し、生きとし生けるものを救済する旨が説かれています。「南無観世音菩薩(なむかんぜおんぼさつ)」と唱えれば、さまざまな厄難から逃れられるとされています。
般若心経
般若心経は聞き覚えのある方も多いかと思います。
数ある般若経典に説かれていることの心臓部を最も簡潔にまとめた経典で、一般的にもよく知られているものです。
「真実を見つめる知恵を持てば、一切にこだわらない「空(くう)」の境地になり、煩悩を断ち切ることができる」という悟りを開くための教えが説かれています。
天台宗の葬儀の特徴
天台宗の葬儀では「顕教法要(けんぎょうほうよう)」、「例時作法(れいじさほう)」、「密教法要(みっきょうほうよう)」の三つの儀式が大切にされています。
「顕教法要」では法華経(ほけきょう)を唱え、日々の懺悔を行い、生前の罪を軽くします。
天台宗では人は仏の子どもである。つまり仏性に属していると考えられており、懺悔をすることで仏性を高めることができるという意味があります。
次に行われる「例時作法」では阿弥陀経(あみだきょう)を唱え、死後に極楽にいくように祈願するとともに、現世を極楽のように素晴らしい世界にするという願いも込められています。
最後に「密教法要」です。定められた印を結び、光明真言を唱えます。故人は、この真言を受けることで光明を得て、重罪を滅ぼし、離苦得脱(苦しみから離れて、楽しみを得る)の多くの幸福をもたらす善行があると言われています。加えて、故人が極楽浄土へ引導されることも祈ります。
葬儀での焼香では焼香台まで進み出て、合掌礼拝をします。右手の親指と人差し指、中指で香をつまみ、左手を添えて、額の辺りまで掲げます。そして香を香炉の中に落とします。
この一連の動作を一回~三回行い、最期に合掌礼拝をして焼香を終えます。
他にも、「剃度式(ていどしき)」と呼ばれる出家をするために髪を剃る儀式が行われます。剃度式を行うことで授戒を受け、故人に戒名が与えられます。
まとめ
天台宗では葬儀の際、特徴的な三つの儀礼を行っており、故人と参列者と全員が一緒になり祈ることで成仏ができるという考え方に基づいています。
また平安末期から鎌倉時代はじめにかけては、各宗派の開祖たちが天台宗の本山・比叡山で学びました。この中には、後に浄土宗の開祖となる法然や、日蓮宗の開祖となる日蓮もいたとされています。このことから、天台宗は日本仏教の礎であり、仏教界の大学のような存在と考えられているのです。
仏教は宗派、地域性により葬儀の執り行いの方法も異なります。葬儀について不明な点、ご不安などがあればいつでもお気軽にご相談ください。
※その他宗旨に関してはコチラ👇
葬儀に関するお問い合わせは 香川・徳島の花水木へ
●家族葬の花水木は香川・徳島で全15会館展開中
※香川県の葬儀会館については→コチラ
※徳島県の葬儀会館については→コチラ
●お迎えから納骨までご家族専属の葬儀コンシェルジュがサポート
●各種家族葬プランを取り揃えており皆様にあったプランをご提供できるようになっております。
●葬儀後の様々な手続きを克明に記した「葬儀後のガイドブック」をお渡ししており、お客様より大変好評をいただいております。