近年、家族葬や一日葬など小規模な葬儀が増えてきています。
家族葬とは「家族などの近親者だけで執り行う葬儀」のことをいいますが、よく密葬と混同されがちです。この2つの葬儀形式は、似ているようで実は大きな違いがあります。今回は意外と知られていない家族葬と密葬の違いについて、その流れや規模感、注意点などもまじえて解説したいと思います。
「家族葬」の定義
「家族葬」と聞くと一見、ごく身内だけしか参列できないイメージをもってしまうかもしれません。ですが、近年執り行われている家族葬には決められたルールなどはないのです。
基本としては訃報を知った際に「家族葬を行う」という連絡を受けた場合には、お通夜などへの参列もしない方が良いと考えた方が無難でしょう。参列してほしい場合には参列をお願いしたい旨が伝えられるはずです。
参列者をどこまで呼ぶかは故人や遺族の意向に沿って行われます。会葬者の人数も10名以下~50名以上など様々です。
もし親族以外で参列を希望する場合、遺族に直接確認するか、葬儀を執り行う葬儀社に参列可能か問合せをすることで確認することができます。
「密葬」の定義
「密葬」は一般の方は呼ばずに、通夜、葬儀、火葬までの一切を限られた近親者のみで行うことをいいます。
家族葬と違う点は、後日、本葬もしくは社葬、お別れの会などを開催することが前提であることが多い点です。
例えば、芸能人や著名人が亡くなった際に
ではどのような場合に密葬をするのでしょうか。
一般的に、故人が会社の会長や社長という社会的地位が高かった方や、歌手や俳優など生前に大きな業績を残された方は、密葬を選ばれることが多くあります。
上記のような方の葬儀を行う場合、非常に多数の方が参列することが想定されます。
準備にもかなりの時間を要することや、ご遺族や近しい身内の方が対応に追われ、大切な故人とのお別れがゆっくりとできない事も想定されます。
そのため、後日に一般の会葬者のために本葬やお別れの会を行うことを前提として、家族や近親者だけで心おきなくお別れをしたいといった場合に密葬を選ぶのです。
「密葬」を行う場合の注意点
もし密葬をする場合、注意しておきたい事が何点かあります。
葬儀に呼ばれなかった人から「自分も最期のお別れをしたかった」と非難されないよう、誰を呼ぶのかを慎重に決め、呼ばない人へも失礼のないようにすることが大切です。
また、密葬は内々で行う葬儀ですが、情報が外部に漏れてしまった場合には参列者が来てしまい、葬儀の際に混乱をきたしてしまう事があるのでお知らせの仕方についての注意が必要です。
密葬でのお知らせの仕方については、今では家族葬という形の葬儀が浸透していますので、家族葬と同じように、葬儀の前にご逝去の連絡をする際に『葬儀は近親者のみで行う』ということ、『一般の方のご参列はご遠慮いただきたい』ということをお知らせすれば、多くの方は理解してくださいます。
「家族葬」と「密葬」の具体的な違いとは?
「家族葬」の場合、通夜~葬儀、告別式~火葬、お骨上げ~初七日法要と、ご逝去されてから2日~3日間の間にすべての儀式が終わることになります。
「密葬」の場合、親族や限られた知人・友人のみで通夜~葬儀、告別式~火葬、お骨上げ~初七日法要を終え、その後一般の会葬者向けに本葬やお別れ会等を行います。
すべての儀式を終えるのに3日~7日以上かかる場合もあるので、必然的に家族葬よりも手間と時間、費用がかかります。
「家族葬」と「密葬」の選択基準
故人の社会的地位や交友関係で選択する
先述の通り、密葬が選択されることが多いのは著名人が亡くなった場合などです。その場合、生前のお付き合いの広さから葬儀には多数の参列者が予想されます。葬儀の当日は家族や親族が故人との別れを落ち着いてできなくなる恐れがありますので、その場合は密葬を選ぶと良いでしょう。
遺族の負担軽減や費用面を重視して選択する
身内や故人に近しい人だけで見送りたい。
参列者が少ないことが見込まれるため、葬儀の規模を小さくし、費用をおさえ、故人が生前に希望した形で無理なくお別れをしたい。
家族葬は、このような考えをお持ちの方に適した葬儀の形です。
時間がない中で葬儀について熟考することは、心痛のさなかにあるご遺族にとって葛藤があるかもしれません。故人の生前の遺志を尊重しつつ、ご遺族の希望やその後のことを含めて家族葬を選択されるケースが多いのです。
まとめ
今回は、家族葬と密葬の違いについて解説しました。ひとむかし前と比べて、最近はさまざまな葬儀形式があり、さまざまなニーズにあわせて選ぶことができるようになりました。ご葬儀プランを迷われている方は、まずは「こんな葬儀にしたい」というイメージを葬儀社に相談してみることからはじめてみてください。今回の記事が、少しでも葬儀プラン選びの参考になれば嬉しいです。
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