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分骨の作法 | の葬儀・家族葬なら家族葬の花水木

葬儀後

分骨の作法

2023年11月15日

「分骨」とは、文字通り遺骨を分けることを意味します。故人の遺骨を二つ以上の骨壺などに納めて別々の場所で供養することです。

手元供養の広まりとともに耳にするようになった「分骨」。言葉じたいはご存知でも、意味をよく知らない方も多いのではないでしょうか。ここでは分骨の意味や目的・手順・注意点について解説いたします。

「分骨をしたい」その理由とは?

分骨をする目的とはなんでしょうか?いくつかの例をご紹介します。

本山へ納骨したい

信仰する宗旨の本山に納骨する為に分骨することがあります。本山納骨とよばれ、これは浄土真宗で多く見られますが、それ以外の宗派でも行われています。

手元供養のため

この理由が最近では一番多いのではないでしょうか。例えば離れて暮らす兄弟姉妹がそれぞれで手元供養したい場合や、遠地にいる身内用に手元供養する場合などに分骨をします。

遺骨の大部分はお墓に納骨し、ほんの少しの遺骨や遺灰だけを手元供養用として仏壇などに置き、日常の中で供養するための分骨です。

もともとの墓と新しい墓の両方で供養したい

先祖代々のお墓はあるが、夫婦で新しく設けたお墓にも納骨したい。そんな場合にも分骨し、両方の墓に納骨することもできます。

また「嫁ぎ先と実家とで宗旨宗派が違っている場合に分骨し、それぞれの墓に納骨することで各宗旨宗派の方法で供養したい」といった事例もあります。

分骨のタイミングと手順

分骨を行うにあたっては、いつでも自由に分けて持ち帰っても良い。というわけではありません。どのタイミングで、また分骨した後はどうするのかにより必要な書類や段取りが変わってきます。

火葬場で分骨をする場合

葬儀を終え、火葬をする際に分骨を希望であれば大まかに以下の手順となります。

1.必要分の骨壺を用意する

2.火葬場で「分骨証明書」を発行してもらう

3.骨壺に遺骨を納める

4.分骨先に管理者がいる場合は「分骨証明書」を提出する

まずは葬儀社へ必要分の骨壺を購入することを伝えます。

分骨した遺骨を墓に入れる際には「分骨証明書」の提示が必要となります。火葬場で申し出て必要分の分骨証明書を発行してもらいましょう。

分骨先に管理者がいる場合には分骨証明書の提出は必須ですが、手元供養を行う場合はこの限りではございません。

そして収骨の際に、事前に購入しておいた複数の骨壺に遺骨を納めます。

墓から骨壺を取り出して分骨する場合

もうすでに納骨されている遺骨を分骨したいという場合はどうでしょうか。まず骨壺を取り出すところから始まりますから、火葬場で分骨するのとでは手順が変わります。

1.必要分の骨壺を用意する

2.納骨されている場所の管理者に「分骨証明書」を発行してもらう

3.閉眼供養をして遺骨を取り出す

4.分骨先に管理者がいる場合は「分骨証明書」を提出する

5.開眼供養を行う

こちらでもまずは必要数の分骨壺を用意します。自分で好きな骨壺を用意するか、葬儀社に相談すると良いでしょう。

納骨されている場所の管理者に連絡して、分骨の為に納骨場所から遺骨を取り出す旨を伝え、分骨証明書を発行してもらいましょう。もちろん分骨する数だけ分骨証明書が必要です。

もとの納骨場所に遺骨を残さない場合には閉眼供養を行います。菩提寺への連絡が必須となりますので、注意しましょう。

さらに、分骨先が別のお墓の場合は開眼供養を行うと良いでしょう。

分骨証明書とは?再発行は可能?

先述の通り、どのような形で分骨をするにせよ「分骨証明書」という書類が発行されます。

「分骨証明書」には、故人の氏名や亡くなった年月日、性別、本籍地や住所、分骨する理由、分骨した後の埋葬地などの分骨に関する情報が記載されています。簡単に言えば分骨した遺骨が誰のものであるかを証明する書類なのです。

この書類は分骨した遺骨を永代供養墓や海洋散骨をする際に必要となります。また手元供養の品を製作依頼する場合にも、「事件性のない遺骨であることを証明するため」などの理由で提出を求められる場合がありますので、大切に保管しておきましょう。

再発行は可能です

分骨証明書を紛失してしまった場合には、各地域自治体の役所で再発行してもらうことができます。

再発行の際には分骨証明申請書や身分証明書が必要になりますので、自治体に問い合わせ、準備物を整えてから臨みましょう。また亡くなった日や火葬した日が分からない場合には、再発行に時間がかかってしまう可能性がありますので注意が必要です。

分骨を行う際の注意点

「分骨は良くないこと?」むしろ尊いとされています

まず結論として、分骨が良くないというのは誤解です。「魂が分割されるので成仏できない」「あの世で五体満足になれない」「法律上で問題がある」「宗教上縁起が悪い」と言われているのは迷信にすぎません。

そもそも西日本では遺骨を全て拾うのではなく、部分的に納めるのが一般的です。骨壺に納められなかった遺骨は「残骨供養堂」や「永代供養堂」に埋葬されることが最も多く、収骨の時点で既に分骨されているといえるでしょう。

「墓地、埋葬等に関する法律施行規則第5条」でも分骨に関する内容が定められています。分骨することは、しっかりと法律でも認められている問題のない行為です。

仏教において寺院などに祀られている「仏舎利」は、分骨した御釈迦様の遺骨です。キリスト教でも聖人の遺骨の一部が「聖遺骨」として保管され、今に伝えられています。

親族の了承を得ましょう

中には「遺骨を分ける」ということを親族間で理解が得られない場合があります。「勝手に分骨した」とトラブルにならないよう、事前にしっかりと話し合いましょう。

遺骨のうち、仏教で最も大事とされるのは「喉仏(のどぼとけ)」です。骨の形が、仏が坐禅を組んでいるように見えるために喉仏という名称がつけられているためですが、実際には喉仏と言われる部分は第二頸椎にあたります。

浄土真宗においてはこの喉仏を分骨し、本山へ納骨することが多いようです。手元供養のための分骨である場合も喉仏を手元におくのか納骨するのか、複数に分骨するのであればどこに喉仏を納めるのかなど、親族全員が納得する形を選びたいですね。

分骨にかかる費用

分骨を行う際の手順については解説いたしましたが、どれくらいの費用がかかるのでしょうか。

火葬場で分骨を行う場合、分骨証明書の発行手数料が300円程度かかります。墓や納骨堂に納められている遺骨を分骨する場合には、分骨証明書の発行手数料が100円程度かかります。これは自治体により差がありますので、確認しておくと良いでしょう。

そして墓石を動かす費用が2万円程度、開眼供養や閉眼供養のお布施はそれぞれ1万~3万円程度が目安です。

しかしこれもあくまで目安です。依頼する業者や菩提寺によって金額は違います。

まとめ

しかるべき目的があるにもかかわらず、未だに否定的な意見があって一般的に浸透していない「分骨」。

分骨を進める過程で遺骨を人目に晒すことは避けられない為、分骨は良くないと感じる方も中にはいるかもしれません。「違法ではないのか」「成仏できないのではないか」「縁起が悪い」「あの世や来世で五体満足になれない」などの、ある種の思い込みがあるようですが、これも故人を想えばこそのものでしょう。

分骨を正しく知ることによって、故人や遺族が後悔のない供養のかたちが増えていけば良いですね。

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