「もし自分に何かあった時、誰が手続きをしてくれるのだろう」。一人暮らしの方だけでなく、親族が遠方にいる方や、家族に負担をかけたくない方にも、この不安は広がっています。
2026年6月25日に公布された社会福祉法等の改正には、頼れる身寄りがいない高齢者等に対し、日常生活、入院・入所の手続き、死後の事務を支える事業を、第二種社会福祉事業に位置づける内容が盛り込まれました。死後の事務には、葬儀や納骨、家財処分の契約手続き、行政への届出などが例示されています。
さらに7月10日、内閣府の孤独・孤立対策推進本部では、単身世帯や単身高齢世帯、孤立死の増加を見据え、日常の接点から地域の支援へつなぐ「社会的処方」などを盛り込んだ重点計画の改定案が示されました。
私はこの二つの動きを、これまで家族の役割とされてきたことを、地域全体で支える時代が始まったという合図だと受け止めています。
ただし、施行時期、対象、利用条件、地域の窓口は、今後の公式情報で確認が必要です。制度が整っても、その人の想いまで自動的に伝わるわけではありません。

一人暮らしと孤立を、同じものにしてはいけません
一人で暮らすことは、その人が選んだ生き方でもあります。自分の時間を大切にし、地域や友人とつながりながら、充実して暮らしている方もいます。「一人暮らしだから孤独だ」と決めつけるのは違います。
問題は、困った時に声を上げる先がないことです。緊急時に誰へ連絡するのか。入院の手続きを誰と確認するのか。亡くなった後、誰に知らせ、どのように見送ってほしいのか。本人の意思が分からないままでは、離れて暮らす親族や地域の支援者も迷います。
花水木の一人暮らし高齢者と事前相談についての記事でもお伝えしているように、事前相談は不安をあおるためのものではありません。元気なうちに、自分の意思と相談先をつないでおくための時間です。
死後の手続きだけ整えても、見送りの想いは残せません
葬儀、納骨、家財の整理、行政への届出。どれも必要なことです。しかし、手続きが滞りなく進むことと、その人らしい見送りになることは同じではありません。
誰に知らせてほしいのか。宗教や供養について何を大切にしているのか。家族葬を望むなら、どこまでの方を「家族」と考えているのか。こうしたことは、書類の項目だけでは見えにくいものです。
親族が遠方にいる場合は、遠方の親族へ知らせる範囲の整理も参考になります。「なぜ知らせたいのか」まで一言残すと、想いが伝わりやすくなります。
葬儀は、亡くなった人へ感謝を伝え、命がつながっていることを確かめる場です。だから私は、効率よく処理できたかだけで、最後の時間を測ってはいけないと思います。
葬儀社は、行政や福祉の代わりになれるのでしょうか
答えは、なれません。身元保証、財産管理、成年後見、医療の意思決定、相続などには、それぞれ制度と専門家の役割があります。葬儀社がすべてを引き受けられるように語ることは、かえって危険です。
けれど、葬儀社にもできることがあります。話を聞き、葬儀に関する希望を整理し、私たちの範囲を超える内容は、自治体、社会福祉協議会、医療・介護職、法律や相続の専門家など、適切な相談先を確認していただくことです。
何でも抱え込むのではなく、必要な人を必要な支援へつなぐ。地域ごとに制度や窓口が異なるからこそ、その時点の情報を一緒に確かめる姿勢が欠かせません。
元気なうちに、三つだけ残すなら何でしょうか
終活を完璧に終わらせようとすると、かえって手が止まります。まずは次の三つからで構いません。
- 緊急時や亡くなった時に、知らせてほしい人
- 葬儀や供養で、大切にしたいこと
- 困った時に相談する地域の窓口や専門家
書いた日付と保管場所も伝えてください。判断の基準を残す方法は、家族葬の希望を家族に残すための整理方法でも確認できます。
葬儀について何を決めればよいか分からない方は、まず葬儀の豆知識で基本を知ることから始めてください。式場の場所を知っておくことも、地域との接点になります。花水木の式場・斎場を探すページでは、地域ごとの会館を確認できます。
葬儀社も、地域の「顔の見える接点」でありたい
政府の資料が示す「社会的処方」とは、困りごとが深くなる前に、日常のさまざまな接点から地域の居場所や支援へつなぐ考え方です。
葬儀社も、その接点の一つになり得ると私は思います。ご逝去の連絡を待つだけではなく、元気なうちに相談できる場所であること。分からない言葉をかみ砕き、今日決めることと、専門家に確認することを分けること。それが、地域で葬儀の仕事を続ける私たちの責任です。
花水木が一施工一担当制や一日一家族貸切を大切にする理由も、ご家族の話を途中で途切れさせず、最後まで向き合うためです。これは宣伝の言葉ではなく、一つとして同じものがない葬儀を守るための仕組みです。
よくあるご質問
Q. 身寄りがいなくても、葬儀の事前相談はできますか?
相談できます。葬儀形式を決めきる必要はありません。連絡してほしい方、宗教や供養の希望、分からないことを整理するところから始められます。福祉や死後事務に関する支援は地域差があるため、自治体や社会福祉協議会にも最新の窓口を確認してください。
Q. 家族が遠方にいる場合、最初に何を共有すればよいですか?
緊急時の連絡順、葬儀で知らせてほしい人、宗旨宗派や菩提寺の有無、希望する見送り方、記録の保管場所を共有してください。すべてを一度に決めるより、更新日を付けて少しずつ整える方が続けやすくなります。
Q. 新しい制度で、葬儀や死後の手続きを無料で頼めますか?
一律に無料で利用できる制度ではありません。具体的な施行時期、対象、料金要件、実施主体は、今後の公式案内や地域の窓口で確認が必要です。契約内容や預託金があるサービスは、説明を書面で確認してください。
自分の場合に何を残せばよいか整理したい方は、事前相談・資料請求でお声がけください。私たちは葬儀に関する部分を分かる言葉で整理し、専門外のことを曖昧なまま請け負うのではなく、確認すべき先を一緒に見つけます。
身寄りがないことを、その人の責任にしてはいけません。一人で生きる選択を尊重しながら、困った時には誰かにつながれる地域をつくる。その中に、葬儀社もいなければならないと私は思います。
人は、生きた証を誰かの心に残します。その証を手続きの中に埋もれさせず、最後に「ありがとう」を伝えられる時間へつなぐために、花水木は生前の不安にも、目の前のご家族にも、これからも一件一件まっすぐ向き合っていきます。

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